ばいばい

キャンプに行く前日の１０月１１日　とても悲しい別れがあった
身内以外の死で　こんなにも悲しいと感じたのは初めてかもしれない

この仕事をはじめてから何年も経ち　悲しい別れは何度もあった
食事に来ないからと　様子を見に行ったお部屋で　おじいちゃんが亡くなっていた事もあった

その度に悲しくて　何度も涙を流したけれど
Ｍさんとの別れは　もっともっと辛く　思い出すと今でもすぐに涙が溢れてくる
　
私の姿が見えなくなると「おねぇさん　おねぇさん」と探しまわり
違うスタッフが対応しようとすると　「あなたじゃなくて　私のおねぇさんはどこ？」
と　涙目で訴えることもあった

そんな風に私を慕ってくれるＭさんを　私は　　重たい・・　と感じたことがあった
こういった心の病の人に　そっと寄り添ってあげるのが私達の仕事なのに

もちろん笑顔で接していたし　突き放すようなことは一度もしたことはない
でも　心の中で　一度でもそう感じたことを　私はずっと後悔していた

Ｍさんの状態がよくなって　笑顔を多く見るようになってからは特にそう
なんて事を思ったんだろう・・　　この方は　こんなにも私を想ってくれてるのに
考えれば考えるほど　辛くなった

日に日に明るくなって　冗談も言う　ニコニコと本当にかわいらしい笑顔で
相変わらず「おねぇさん」と呼んでくれたＭさん

なのに　あまりにも突然のお別れだった

休憩で食事をしている時に電話が鳴った　　下でスタッフが電話を取るだろう・・
いつもならそう思うのに　

電話が鳴った瞬間に　「あっ　私だ　早くでなくちゃ」　なぜかそう思い
あわてて受話器をとった

Ｍさんの娘さんが泣きながら私に伝える　
娘さんからしたら　私なんてさらに娘のような年なのに
そんな私に　すがるように泣きじゃくり　私もやっぱり泣いてしまって
　


何の前触れもなく　あまりにも突然のさよならだった

夜になってキャンプの用意をしながらも涙が溢れる
早く寝なくちゃと入ったベットの中で　次から次へと涙が出てくる

お陰で朝目覚めたら　目はぶんぶく腫れて　とんでも無い顔になっていた
　

あれからもう１週間　　私は毎日　

「お願いです・・　夢に出てきてください　　
どうかもう一度　夢でいいから逢いに来て・・・」

そう願ってベットに入ってるのに　　未だに出てきてくれません・・・